関西の年越しそばの定番のひとつに、にしんそばがあります。
これは熱々のかけそばの上に身欠きにしんの甘露煮が乗っているというもので、家庭でもニシンの甘露煮を買ってきて、手軽に作ることができます。
関西の年越しそばの風景として定着しているにしんそばですが、味が好きかいえばそうでもない、という声も聞こえてきます。
少なからずいるにしんそば苦手派の意見を聞くと、以下のような、にしんそばの突き詰めたシンプルさが苦手の要因のようです。
・鰹出汁と薄口しょうゆのつゆに、突然にしんだけ甘い味がする。
・そばとにしんに脈絡がなく、そばはそば、にしんはにしんだけで食べることになる。
・薬味がとくにない
そこで、従来のシンプルな調理法に手を加え、にしんそばが苦手な人でも美味しく食べられるにしんそばを目指してみました。
まず、にしんを一口齧ってみて初めて甘露煮であることに気づくという唐突さを軽減しながら、
次に、にしんの甘露煮に合いそうな薬味を加えてみます。
【にしんそば・改】
1.鰹の出汁500ccに濃口醤油大さじ1、みりん大さじ1を入れ、さらに沸騰寸前に温めたつゆの中ににしんの甘露煮を入れ、そのままなじませまる。
2.茹でた蕎麦を盛り、1のつゆをかけ、三つ葉、山椒を振って完成。
つゆとにしんをうまく繋いだつもりでしたが、結果は出汁の鰹の旨みをにしんの魚の匂いが邪魔し、雑味が出てしまっています。
濃口醤油も醤油辛さが蕎麦にしみこんでしまい、麺自体が塩辛くなってしまいました。
薬味の山椒もにしんに合いませんでした。
つゆはにしんとはまったく別の要素であったほうがよいということがわかりました。
(鰹の出汁を短時間で抽出させて雑味を少なくするのが良いでしょう。)
ちりめん山椒や蒲焼や煮付けなど、甘い魚の料理に多様される山椒がいまひとつ合わないというのは意外でした。
【にしんそば・改2】
鰹の出汁500ccに薄口醤油大さじ1(濃口から薄口に変えた)、みりん大さじ1/2(大さじ1から減らした)、酒大さじ1を入れる。
長ネギを2〜3センチに切り、ごま油をなじませてから火にかけ、焼き色がつくよう表裏2分ずつ焼く。
茹でた蕎麦を盛り、熱いつゆを張り、温めたにしんと焼いたネギを乗せ、炒り胡麻を全体にまぶす。
胡麻の香ばしい香りで、にしんの強い魚の匂いも嫌味なくなります。歯応えに乏しいにしんそばに、ぷちっと胡麻をかみつぶす食感が加わりました。
魚のみりん干しと胡麻の相性に近い、必須の薬味に思えます。
ちょっとのことですがちゃんと美味しい、【にしんそばが苦手な人のためのにしんそば】できました!
美味しいのでぜひお試しください!