[そば産地]北海道上川町2016年
2016年8月29日、そば畑を訪ねて北海道は上川郡上川町に行ってきました。
信濃屋そば製粉で扱う国産そばの産地、上川町は大きな面積を占める上川地方の東端の地域。
東側に大雪山系を臨む山合いの町です。
今年北海道では、8月17日水曜日に台風7号が上陸したのち、21日日曜日に台風11号、8月23日に台風9号が上陸。なんと1週間に3つの台風が上陸し、その大雨による影響で農作物にも大きな被害も発生しているとニュースも伝える中、とにかく現地の状況を知りたく、足早に向かいました。
迎えてくれたそば部会会長の渡辺さんから先日の台風被害について話を聞いたところ、風はともかく雨の強い台風で、登熟期の実が雨で叩き落とされた畑もあり、収穫量への影響が心配とのこと。しかし、品質に打撃を与えるような倒伏や冠水の被害はなさそうだ。
案内してもらった畑は山の上、黒岳を真正面に坂を登るように作られたそば畑。
まだ花が若干あり、大事な結実期に入る畑だ。よく枝分かれしていて花もたくさんついており、生育はよさそう。この頃は頭の重さも(実が入っていないので)軽いため、風を受けても倒れにくい。少し傾いてはいるが、渡辺さんいわく「少し傾いていた方が風をまともに受けないので良い」のだそうだ。
もう一箇所の畑は、花はもう見えなくなり赤い枝の登熟期の畑だ。もうじき収穫を迎える。
この時期のソバは実が大変落ちやすく、先日の台風の雨で叩き落とされ頭頂部のないものも見られたが、よく枝分かれして育っているため2番目以降の枝は無事に実がついているのが確認できる。台風に加えて黒岳からの吹き下ろしになびいてはいるもの、しっかり根を張ったソバの枝に倒伏はない。どうか次に来る台風10号の風にも耐えてもらいたい。
そば畑を訪れる昆虫たち

そば畑を撮影する傍らでこんなものを見つけた。イタドリの花にエゾオオマルハナバチが4、5匹とまっている。そばは花がついてから実ができるまでに昆虫が花粉を媒介することが必須で、この昆虫が少ないと中身の入っていないソバ殻だけの実ができてしまうのである。その点上川町の畑には、原生林の山からまわりの林からマルハナバチに限らずいろんな昆虫が必死で花粉を集めに来ており、実の入りも大変良い。
牧草を植えて大根を植えて…豊かな土を保つ輪作

こちらの畑のとなりは牧草地。上川町は酪農もさかんで、牧草も地元で作っている。
牧草のスパンはだいたい3年。その次はまた大根を植えて、と輪作をやって畑の豊かな地力を保っている。また、この酪農で出た堆肥も上川町の畑の土に還元されている。
まとめ
収量については前年比減となると思われるが、
同じ上川町内でも畑の標高が異なるため結実・登熟期に時間差があるのがリスク分散になっていることや、
水はけのいい地形のおかげで水やけで根が傷む心配がないこと、
倒伏した株がないので根張りのよいことが考えられること、
収穫した実の選別が厳しく、1等級の実のみ選別されること
など、品質については例年どおりいいものが作られている様子を見ることができた。
なによりも「収量については少なくなっているとは思いますが、今年もいい出来秋になることを期待して収穫作業をがんばりたいと思います」という伊藤さんの言葉に、ここには確かにいいものができる理由があると思わされる。今年も出来のよい新ソバが期待できそうだ。
[ 追記 ]その後収穫、乾燥・調整作業も順調に進み、弊社には10月11日に入荷しました。
水分、実の粒張りなど申し分ない出来です。
現在準備中、新ソバ発売は10月24日出荷分からになります。